家族が癌になりました⑤

手術が終わり、1か月高熱が続きました。抗生物質を使っても熱は下がらないのです。

原因を探るために再度手術が行われました。

再手術

主治医の先生に説明を受けました。

「申し訳ありません。ガーゼが1枚体内に置き忘れていました。そのため炎症がおこっていました。」

私は言葉がでませんでした。そんな事が大病院であるなんて。信頼していた先生だっただけにショックでした。

でも主人は「これで原因がわかったんやからええ。これからの治療もあるから、訴えたりしないでくれ」というのです。
私はそれに従いました。

医療事故と訴えたとしても、まだまだ生きていくためには戦っていかなくてはいけないのに、そんな事に時間を費やす余裕もなく、前を向いて進むしかなかったのです。

私たちは、医師に命を預けている身。弱い立場でもありました。

それでも生きていてくれたらそれでいい

再手術後の彼の体は、右の脇腹の肋骨あたりから肺に向かって、ガーゼのあった場所が大きく穴が開いています。

そこを毎日看護師さんが消毒をしてくれます。その穴にガーゼを詰めていくのです。
ガーゼは5枚ほど入りました。そして最後は大きな絆創膏で蓋をします。

私も中を見せてもらいました。
息をするたびに肺が動いているのが見えるのです。

2回の手術でいびつになった傷跡。
病気になる前は、体を鍛えていて胸板も厚く、筋肉隆々でたくましいからだをしていました。
海が大好きで年中真っ黒に日焼けしていた彼の体は、昔の面影もなく、筋肉は衰え痩せていきました。

それでも命があればいい。
体はまた鍛えたらいい。

それよりも前に進もう。
先生を信じて。
彼の生命力を信じて。

当時は二人ともそんな気持ちでした。

Hawaiiを旅するセラピスト 谷口ひとみ

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モアニアロマ
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